会社概要


経営者DX推進メッセージ

2023年9月

① 世の中の動き

ア.ITによる人材不足の解消

人材不足が言われて久しいですが、なかなか解消される様子はありません。

無人コンビニや無人ブックストアもニュースで見かけますが、大きく増えたとは聞きません。

この度ローソンが導入するのは、アバターを使った遠隔地からの接客サービスです。

「ローソンアバターオペレーター」と呼ぶ従業員が遠隔地からアバターを操作し、来店者に対し画面上で会話し、顧客対応や販売促進に当たります。一人で複数のお客様に対応が可能になり人材不足の解消になりますし、強盗などの防犯対策にもなります。

さらには、勤務地や子育てなどで時間の制約がある人や障害を持つ人も働けるようになり新しい働き方の一つになります。面白い試みだと思います。

このような形でITの力を人材不足の解消に役立てられるといいですね。


イ.GX(グリーントランスフォーメーション)

温暖化の原因とされる「温室効果ガス」を減らすカーボンニュートラルという言葉はよく耳にするようになりました。

では「GX(グリーントランスフォーメーション)」という言葉を知っていますか。

カーボンニュートラルが「気温上昇や気候変動を止める」というゴールだとすると、「GX(グリーントランスフォーメーション)」はそのための手段といえます。カーボンニュートラルを実現するために産業の在り方を含めて全てを大きく変革していくことが「GX(グリーントランスフォーメーション)」になります。

そして、ここでもITの力が期待されています。リモートによる人の移動の減少、電子署名や書類の電子化による紙媒体の減少などカーボンニュートラル達成の手段になりますし、AIの活用による物流の効率化、需給予測の精緻化なども非常に大きな削減効果があるはずです。

我々もITでの貢献が出来るように頑張りましょう。



② IT業界動向

ア.メタバースの動向

一時期非常に盛り上がった感のあるメタバースですが、最近目立ちません。

実際にビジネスの面でも取組は進んでいないようです。その原因としては、事業がメタバースである合理性がなくターゲットやニーズが明確化されていないことなどが考えられますが、一番大きな問題点はハードウェアの面にあるようです。米メタのヘッドセットは新しいモデルを出したにも関わらず、出荷台数は減少しています。

現状のヘッドマウントデバイスは、日常で使うには大き過ぎ、もっと小型軽量化されないと普及は難しいでしょう。

それでも、就活などの説明会ではメタバースが使われるようになっていますし、NFTやゲームの世界では盛り上がりを見せているようですので、メタバースが活用できる工夫やソフト面での進化などで進めて行ければよいと思います。


イ.生成AIの動向

ChatGPTで世の中の一般の人にも広がっていった大規模言語モデル(LLM)ですが、このLLMの性能を最大限に活用するためにどのように質問(プロンプト)をすればよいか、を考える学問が「プロンプトエンジニアリング」です。

自分が求める形での回答を引き出すには、質問の仕方を工夫する必要があります。

例えば、Few-Shotプロンプティングは、こちらから例をいくつか提供することで、その例にそった回答を得るテクニックです。また、chain-of-thought (CoT)プロンプティングは中間的な推論の仕方を教えることでさらに複雑な推論を行わせることも可能になります。

この両方を組み合わせることで、より推論が必要で複雑なタスクについて、良好な回答を得ることができます。

ただ、良い事ばかりではなく、特殊なプロンプトでLLMの出力をコントロールしたり、個人情報を抜き出そうとする事例もあるため、使う側のリテラシーも問われています。



③ IT技術トレンド

ア.ローコードとノーコード

当社でも以前からローコード開発への取組を行っていますが、生成AIの出現で変化が表れています。

文字通り、ローコードは少ないコードでアプリケーションを開発するもので、ノーコードはコードを書かずにアプリケーションを開発します。ご存知の通りChatGPTなどのLLMは簡単なコードを書いてくれますのでローコード開発のコード作成部分をLLMに任せることで、結果的にノーコード開発が実現できるというわけです。

例えば、ChatGPTに業務の要件書を作成してもらって、それを元にコードを書いてもらい、そのコードをローコード開発ツールに取り込むことで、完璧なノーコード開発ができるようになります。

当然、「要件が正しいか」とか、「コードに問題がないか」は人間が確認する必要がありますが、IT技術者が不足している現在、新たな可能性が見えてきているようです。


イ.セキュリティ対策

これまでのセキュリティ対策は、外部からの内部デバイスへの攻撃や侵入を防ぐ対策が主流でした。

しかし近年、標的型攻撃や暗号化ファイルなど侵入を防ぐことが難しい攻撃が増えています。

そのような背景があり、現在、EDR(Endpoint Detection & Response)というデバイス内での不審な挙動を監視するセキュリティ対策が注目を集めています。さらにEDRを進化させたのが、XDR(Extended Detection & Response)であり、サーバ、メール、エンドポイント、ネットワークなど、さまざまなデータを収集・相関分析することでこれまでよりも早く、効率的に脅威を検知します。

また増え続けるサイバー攻撃に対応する企業の担当者にも負荷がかかっており、セキュリティ対策自体をアウトソーシングする動きもあります。

MDR(Managed Detection & Response)と呼ばれ、「脅威検知とインシデントへの処置を代行するアウトソーシングサービス」です。

システムの安全を守るために、セキュリティ対策は必須です。

今後はこれらのセキュリティ対策に変えていく必要があります。



④ 当社のDX戦略の進捗状況、その他

・従来型ビジネス

AI活用プロジェクトやローコード開発については、従来ビジネスにとどまらず自社製品や社内システムへの活用を始めています。

こちらは引き続き、さらなる展開を目標に進めて参ります。


・新たなビジネス

自社製品については、来年にかけて、新たな製品のリリースを予定しています。

またこれまでの製品を使用して、教育訓練サービスへの展開を行いたいと思います。

引き続き、新たな製品開発・サービスの提供に向けて進んでまいります。


2023年9月 システム・エボリューション株式会社
   代表取締役社長